スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

なぜ鼠径ヘルニアの日帰り腹腔鏡手術が可能なのか?

なぜ鼠径ヘルニアの日帰り腹腔鏡手術が可能なのか?

こういった質問を時折いただきます。
元も子もない話ですが、実は「だれだってやろうと思えばできる」のです。
確かに、10年以上前の技術や薬剤で安定した日帰り腹腔鏡手術を提供せよと言われたら私も自信がありません。
しかし、現代では、腹腔鏡手術はかなり普及し、術後の患者さんがどんな経過をたどるかわかってきたこと、必要な時のみ効果を発揮し、手術が終わったら短時間で作用がなくなる麻酔用医薬品が登場したこと、これらを踏まえると「できないわけがない」のです。
ですので、欧米ではすでに日帰り手術というのは多くの施設で行われ、その安全性が証明されています。

では、やろうと思えばできるものをなぜやらないかということが気になりますでしょう?
ひとつは、日帰りの管理体制を取り入れるときの困難です。病院の麻酔科でも年配の先生は未だに旧世代の薬剤を好んで使っています。その経験しか持ち合わせていない医師が主導権を握っている場合は「日帰りなんて危ないことさせられるか」となってしまいます。
それに短期の滞在時間で必要なことを全てこなすには看護職員の教育も十分に行われていなければなりません。
実際に私が勤務医をやっていたころは、全ての患者様に手術前日入院をさせていました。それが病院の命令であったのです。今考えればたいへんな無駄ですが、入院して当日いきなり手術だと看護師が大変だからというのです。
もうひとつ。病院にとって日帰り手術は儲からないのです。わが国の医療制度のなかで、病院経営を安定させるには、入院させてこそ、ベッドを稼働させてこそなのです。患者さんを日帰りさせる仕組みを取り入れる手間、取り入れても忙しくなるばかり、稼ぎは伸びないとなると病院にとってはやる意味がなくなります。
他の病気もたくさん扱っている病院組織には鼠径ヘルニアのためだけに大きなプロジェクトを動かすことができません。「動機づけ」の段階から困難なのです。
私は数少ない鼠径ヘルニアの専門家なので、ヘルニアのことだけを考えて、患者さんの貴重な時間を極力奪わず、安定した技術提供を行うことに心血を注ぎたいという想いが強かったため、「できないね、諦めよう」ではなく「できるようにすればどうしたらいいか」から考えていました。
私は、腹腔鏡というキズの小さい術式が本来は日帰りとの相性がいいことに早くから気づいておりました。麻酔は麻酔でも心臓の大手術と鼠径ヘルニアでは大きく異なるはずです。画一的な麻酔をかけるのではなく、鼠径ヘルニアの手術を行う上で、必要かつ十分な麻酔ができるはずだと考えていました。そこで新しいクリニックの立ち上げを機会に、鼠径ヘルニアの日帰り腹腔鏡手術に適したプロトコールを作ってくれと麻酔科に依頼しました。結果出来上がったのは、最新の薬剤を必要最低限組み合わせたシンプルな全身麻酔。尿道バルーンや経鼻胃管も要りません。私の技術だったら手術にも時間がかからず、不測の大量出血なども起きていないので、日帰り+腹腔鏡手術はこれまで大きな事故・合併症なく500例以上行われております。

もちろん、何かあったときのために、院内で長時間お休みいただける設備を備えておりますし、高度救命施設との連携体制も確立させています。万が一、術後の状態が思わしくない場合は我々は何時間でも付き添います。もう終わりだから帰ってくれということはありません。そして救急車で1分かからない場所に高度救命施設も存在します。

日帰り+腹腔鏡は、概ね健康で日常生活が自立している患者様に提案しております。
心肺機能が思わしくないかたは、日帰り+腹腔鏡の提案ができない場合もあります。ご心配なかたはご来院前にお問い合わせいただければ幸いです。この組み合わせが困難だとしても何らかの治療を提案できております。他院で断わられてしまった方もぜひご相談いただければと思います。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。